野菜の「おいしい」について考える

マイルドオーガニック

有機無農薬の野菜は「おいしい」などと言いますが、本当でしょうか。
野菜の「おいしい」について考えてみました。

そもそも、「おいしい」とは

体に必要だから「おいしい」

「おいしい」とはなんでしょうか。
甘味・塩味などの味の組み合わせ、ダシのうま味、暑い日のアイス、ママのカレーなどが思いつきます。
また、炭水化物・脂質は人間のエネルギー源となるので、おいしいと感じるそうです。
空腹か満腹か・好みの味付けか、などの条件にも左右されそうです。
「おいしい」とは多分に主観的なものと言えます。
野菜に置き換えると、肥料のN(窒素)と空気中のC(炭素)がおいしいものになります。

気分がいいから「おいしい」

気の合った人や家族と囲む食卓や、流行りの店で食べる料理はおいしいものです。
食材や味付けも大切ですが、食事の雰囲気も「おいしさ」を大きく左右します。
嫌な人と一緒に、またはサービスの悪い店で食事をしても、いかに料理がよくても「おいしい」とき感じません。
「おいしい」とは気分に左右されるものとも言えそうです。
野菜に置き換えると、適時に追肥され、しっかりと防除されたときに気分がよくなります。

野菜は「おいしい」のか

前述のように、炭水化物・脂質は生命活動の源なので、食べると脳がおいしいと判断します。
タンパク質も体の基になるので、やはり食べると脳がおいしいと判断します。
野菜に多く含まれるビタミンとミネラルは、主に体調を整える役割があります。
野菜も生きていくには必須の栄養素を持っていますが、補助的な立場です。
野菜を食べても、ご飯やパン・肉や魚のように、「おいしい」と脳が判断することはありません。

野菜は副食材

夏場のキュウリやトマト・冬場のハクサイなど、旬の野菜はおいしいものです。
でも、野菜とご飯・味噌汁で食事を済ますことはできません。
料理としても栄養的にも、副食材の立場であり野菜はメインを引き立てる「おいしさ」に過ぎません。

野菜の相対的な「おいしさ」はある

同じ品目の野菜を比較して「おいしい」かどうかを比べることはできます。

好みの品種が「おいしい」

果物では、リンゴ・ナシなどいくつかの品種があり、人により好みがあります。
野菜も同じで、キュウリやトマトなど生で食べることの多い野菜は、好みに合ったものが「おいしい」と感じられます。

旬のものが「おいしい」

野菜には旬の時期がおいしく、その他の時期はあまりおいしくありません。
施設栽培の野菜は、通年食べられて便利ですが、旬のものにはかないません。
野菜に一番適した時期(気温・日照など)に育てることで、その野菜本来の味を一番引き出すことができます。

新鮮のものが「おいしい」

イモ類などを除き、野菜は朝採りが一番おいしいです。
野菜は早朝に成長するので、その直後に収穫したのもがみずみずしいのです。
店の棚に何日も並んだもの・通販で取り寄せたものより、直売所で朝採りを買い、すぐに食べるのが一番おいしい食べ方です。

魚は養殖か天然かで餌の違いが味に出ますが、野菜は肥料が有機でも化成でもほとんど変わりません。
ただ、保冷しても野菜は鮮度の違いが魚以上に影響します。

食事として「おいしい」のがベスト

夏にキュウリに味噌をつけて食べるのは、(おつまみとして)とてもおいしいものです。
農法がどうであれ、旬の新鮮な好みの野菜が、その人にとって一番おいしいものになります。
変にこだわり、野菜を食べ比べておいしさの差を探す必要はありません。
野菜が名脇役の好みの料理を、楽しく食べていただきたいと思います。