有機JAS規格に定める農法を軸として、柔軟に対応する農法をマイルドオーガニックと名付けました。
※有機JAS規定の「オーガニック」ではない
- 有機肥料を使用する
- 好条件なら、無農薬で栽培する
- 必要なら有機JAS指定の農薬を使用する
- 悪条件なら、普通農薬や化成肥料も忌避しない
- 肥料と農薬の使用実績を公開する
有機栽培を中心としながらも、無農薬にはこだわらず、でも結果的に無農薬栽培になったりします。
病気や害虫が多発すれば、迷わず普通農薬を使います。
成育が極端に悪ければ、化成肥料の力を借ります。
また、肥料や農薬の使用実績を公開することで、安心・安全の判断材料を提供します。
大切にするもの
そもそも野菜は副食材です。野菜には人間の主食になるおいしさはありません。
料理のおいしさは、食卓の雰囲気、作る人の愛情と作ってくれた人への感謝で決まります。
「ママのカレーはおいしいね」の言葉に尽きると思います。
有機無農薬かどうか、生産者が誰かなどは料理のおいしさには無関係です。
楽しい食卓の、思いやりにあふれる料理に使っていただけるよう、旬のものを、できるだけ新鮮なうちにお届けします。
オーガニックについて
マイルドオーガニックでは、まず元肥に有機肥料のみ使います。
成育途中で、病気や害虫が発生すれば、有機JAS登録の農薬で防除します。
また、収穫途中で初めて農薬を使用することがあります。
このときは、栽培履歴を有機無農薬から有機JAS準拠のオーガニック(化学農薬不使用)に変更します。
有機農法とは
化成肥料を使用せず、有機肥料のみ使用する農法です。
有機農法は、農薬使用の有無とは無関係です。(無農薬農法は別物)
肥料要素は有機物ではない
植物が必要とする肥料要素は全て無機質です。
肥料の主要要素は、N・P・K・Ca・Mg・Sで、人間のミネラルの主要要素Na・P・K・Ca・Mgと似ています。
人間は有機質を食事により摂取しますが、植物は有機質を光合成により生成(N+C)します。
窒素(N)は肥料から、炭素(C)は空気中の二酸化炭素から吸収し、有機質の基となるアミノ基を合成します。
有機肥料を与えても、植物に吸って欲しいのは無機質です。
有機JASでも、使用できる無機肥料が定められています。
有機肥料と化成肥料の違い
植物が吸える肥料成分は、イオン(N-など)として水に溶けたものです。
化成肥料は肥料成分がそのまま含まれているのに対し、有機肥料は微生物が分解することで肥料成分が生成されます。
肥料の元が有機肥料でも化成肥料でも、野菜が吸う肥料成分としては同一です。
有機肥料だから野菜がおいしくなる、ということはほぼありません。
品種や栽培条件(日照、温度、水分、肥料要素など)が同一なら、有機・化成に関わらず同じ味の野菜になります。
ただし、有機農法に取り組む農家は、品種を吟味し、管理も徹底しているので、慣行農法で大量生産された野菜よりおいしくなることがあります。
有機肥料のメリット
生産者として、有機肥料のメリットには魅力があります。
有機肥料のメリットは、肥料の効きが長いことです。
ある程度の期間、安定して肥料成分が供給できます。
これは植物にとって好ましいことで、より健全に育ちます。
また、有機肥料は効きが穏やかなので、撒く時期や量がガサツでも微生物が調整してくれます。
さらに、鶏糞などの栄養堆肥には、肥料成分と土を良くする堆肥の両方の効果があります。
化成肥料は、肥効が短く、撒く時期と量がシビアで、堆肥は別途入れることになります。
有機肥料のデメリット
有機肥料は、ガサばり重く(化成肥料の5倍以上)撒くのが大変です、また、物によっては臭いがあります。
保存に場所を取り、成分調整のために、肥料を混合することもできません。
土中で肥料化するので、土に混ぜにくい追肥には向きません。
化成肥料は軽く保存も簡単、粒状のため好みに混ぜてから散布できます。
また、化成肥料は土の上に撒いてもよく、少量でも効果があるので追肥に向いています。
農薬を使う理由
農薬は、使わずに済めばそれに越したことはありません。
しかし、条件に恵まれない限り、無農薬は労力の増加と歩留まり(出荷量)の低下によるコスト増に繋がります。
作物がわが子だったら
例えば、お子さんがインフルエンザに罹ったとき。
気合と根性で治すのが無農薬、漢方薬を飲ませるのが有機JAS、抗生物質を打つのが慣行農法です。
例えば、お子さんが年頃になり、悪い虫がついたとき。
同伴して追っ払うのが無農薬、厳しい門限を設けるのが有機JAS、しっかりと諭すのが化学農薬です。
野菜も人間と同じで、幼少期や成長期に病気や害虫にやられると、成育が悪くなり、最悪枯れてしまします。
おいしい野菜は軟弱
現在のいわゆるおいしい野菜は、品種改良により自己防衛機能を削がれています。
食べて甘い野菜は、病害虫も含め人畜無害な存在です。
人が食べてまずい味は、植物が本来持っていた天然の農薬なのです。
渋い、苦い、えぐい味は、害獣も病害虫も好みません。
時期と作物によっては、有機JASか普通農薬かは別として、農薬で作物を健全に育てることが大切になります。
オーガニックの将来
みどりの食料システム法では、2050年までの目標が掲げられています。
化成肥料を30%削減
化成肥料は、原料を輸入に頼っています。
国際関係が悪化し、食料生産のシステムが崩壊してはならないので、削減する必要があります。
化成肥料が環境に悪いから減らすのではありません。
なお、2030年までに20%減の目標となっています。
原料の輸入に危機感があるようです。
化学農薬を50%削減
化学農薬は、製造時に環境に悪影響を与えるものを排出するので削減する必要があります。
規定どおりの使用であれば、環境汚染や食べる人への危険はありません。
また、この目標は、これから有効な農薬が新たに開発されることが前提です。
なお、2030年までに10%減の目標となっています。
新規農薬の開発には10年以上かかるので、当面できるところから、ということのようです。
耕地面積の25%を有機農業に
逆に言えば、2050年でも75%は有機農法でなくてよいということです。
多数派の75%は有機と化成肥料、有機JASと普通農薬を混用する農法となるでしょう。
オーガニックという言葉が流行っていますが、国は2050年でも普及は25%程度とみているようです。
他にも、温室効果ガスの削減目標などがあります。
現在の農業では、軽トラ・耕運機・刈払機など、ガソリンを使う機械を多用しています。
有機無農薬もいいですが、地球環境のためにはまず先に、各自が足元を見直す必要がありそうです。